ぴゅう太でグラディウスっぽいものを作りたかったが

 ぴゅう太の新作ソフト(カセットテープ)が発売され、しかも完売し、なおかつ週刊アスキーの記事にまでなってしまう。今年は本当に2018年なんだろうか。

かつてぴゅう太でゲームを制作していた私としてもつい触発されてしまい、久しぶりにG-BASICでプログラムを書いてみたのだけれど…感想としては、想像以上に辛かった。

・配列変数が使えない。※ただし、代替手段はある(後述)

・論理演算が出来ない(ジョイパッド入力判定が辛い)

・16ビットの数値の扱いが、0~65535と-32768~32767の2通りの解釈があるせいか、マイナスの値の判定が想定通りに行かない

・スプライトの移動がXY逆だ→ぴゅう太のスプライトはY、Xの順に指定するんだった

など、想定外のことが色々と起きてなかなか動かなかったのだが、試行錯誤の挙句何とか動くようにはなった。

まず、BASICを入力するにあたり、あらかじめ下書きをテキストエディタに書いた。普段の仕事ではそんな事はせず、頭のなかでロジックを組み立てたら直接書き始めるけど、ぴゅう太の場合はテキストエディタが2行分しか表示されないので、さすがに下書きなしだと厳しい。

1 su1=1
10 x=su1
20 y=80
30 inx=su1
50 spd=8
60 ofs=14
70 len=32
100 for 130 i=1 to 31 step 2
110 cell(i)=x
120 cell(i+su1)=y
130 next
150 if time 1=1 then 200
160 goto 150
200 key 1 j,k
201 x0=x
202 y0=y
210 if j<>1 then 230
220 y=y-spd
230 if j<>3 then 250
240 x=x+spd
250 if j<>5 then 270
260 y=y+spd
270 if j<>7 then 250
280 x=x-spd
290 if x<>x0 then 500
300 if y=y0 then 1000
500 cell(inx)=x
510 cell(inx+su1)=y
530 inx=inx+2
540 if inx<=len then 1000
550 inx = su1
1000 anim 3 = post(y,x)
1010 anim 4 = post(y,x)
1020 a=inx
1021 if a>ofs then 1040
1030 a=a+len
1040 a=a-ofs
1050 x1=cell(a)
1060 y1=cell(a+su1)
1070 anim 1 = post(y1,x1)
1080 if a>ofs then 1100
1090 a=a+len
1100 a=a-ofs
1110 x2=cell(a)
1120 y2=cell(a+su1)
1130 anim 2 = post(y2,x2)
1140 goto 150
9999 end

ちなみに、日本語ではなく英語なのは、後期のBASICで書いたから。

アルゴリズム自体はオーソドックスで、自分の座標をリングバッファ(16個)に保存し、オプションの座標を自身の過去の座標に設定するというもの。ちなみに、この座標更新処理を自機が動いたときだけ実行するとグラディウスのオプション、毎フレーム実行するとツインビーの分身が実装出来る。

ただし、ぴゅう太では配列変数が使えないため、BG画面の上一列に数値を書き込むことによって、配列変数の代わりとしている(上段がノイズっぽく表示されてるのはその副作用)。

久々に触ってみた感想としては、かつて自分は、こんな厳しい環境でよくゲームを作っていたなぁと。

当時は、あらかじめノートに紙でプログラムを書き、実際に打ち込むまで何度も何度も書き直していた。しかも、パソコン専用のモニタがなく、家に1台しかないTVを使う必要があったため、実際にプログラミングできるのは土曜の午後に家族が外出している時ぐらい。それまでに、入力すべきものをあらかじめ精査しておく必要があった。

今とは比べ物にならないほど、制約が大きい環境ではあったけれど、逆にそういう環境で創意工夫していたおかげで、それが今の自分の血肉になっているという確かな実感がある。

 

ぴゅう太プログラミング入門

ascii.jpこれを機会に、ぴゅう太のプログラミングに興味を持った方々に向けて、元ユーザーの立場から、ささやかながらアドバイスさせていただきたく。
※実機が手元にないので、もし間違っていたらごめんなさい

ぴゅう太のグラフィックスについて

ぴゅう太のVDPはテキサス・インスツルメンツ社のTMS9918である。色数は少ないながらも、少ないメモリ(16KByte)でシステムを構成できることから、当時MSX、ソードM5、セガSGシリーズ等にも採用された。
ぴゅう太のグラフィックは、MSXでいうところのスクリーン2に相当する。8×8ドットのPCG(ぴゅう太では「セル」と呼称)を32×24、計768個が並べられ、全てのセルに対し個別にドットパターンを設定可能。
スプライト(ぴゅう太では「アニメ」と呼称)は32個あるが、BASICで制御可能なのは4つのみ。倍角固定であるため、サイズ的には32×32ドットである。
ぴゅう太アーキテクチャとして特徴的かつ一番のアドバンテージであった点として、標準でグラフィックエディタを内蔵していた点が挙げられる。まずグラフィックエディタで画像を作成し、その画像に対しBASICによりプログラミングで操作する。これは当時としては画期的かつユニークなアーキテクチャであった。当時の多くのパソコンでは、グラフィックの描画を行うために、LINEやPAINTといったBASICのコマンドを駆使し、苦労の割に中途半端な表現しかできなかったのに対し、ぴゅう太ならばグラフィックエディタで時間をかければかけるほど凝ったグラフィックを作ることが出来た。

ぴゅう太のBASICコマンドについて

前述のグラフィックモードで絵を描き終わり、これ以上編集する必要はないと覚悟を決めた時点で初めて、BASICコマンドを入力するモードに移行することが出来る。
(ぴゅう太ではメモリの制約上、一度BASICモードに移行した場合、再度グラフィックエディタに戻るとそれまで打ち込んだプログラムは消去されてしまうため)
グラフィックモードからG-BASICの入力モードに移行するには、MODキーから呼び出せるシステムコマンドモードから「GBAS」と入力する。コマンドの正式名称は「GBASIC」であるが、ぴゅう太のコマンドは全て最大4文字で構成されているため、「GBAS」のみ入力すれば良い。同様に、プログラムを実行するためのコマンド「シ゛ツコウ」(一般的なBASICのRUNに相当)も、「シ゛ツコ」のみ入力すれば良い。
ぴゅう太のBASICコマンドは、当時の一般的なBASICを日本語に変換したものにほぼ準ずるが、より簡略になっている。
・変数への代入「シキ(LET相当。一般的なLETと同様、「シキ」は省略可能)」
・IF~THEN~GOTOに相当する「モシ<式>ナラバ<行番号>ニイケ」
・FORループに相当する「マワレ <行番号> <変数>=<初期値> カラ <最終値> カンカク<変数への加算値。1ならば省略可能> 」
・セル間のグラフィックパターンのコピー「セル(x)=セル(y)」
・スプライト座標操作「アニメ<1~4>=イチ(x,y)」
・8文字分の数値もしくは文字列の表示(PRINT文相当)「カケ(セル番号),<変数名>」
・4種類の内蔵音声の再生「オト <イチオン|ニオン|サンオン|シオン>」※それぞれ「ピッ|ブー|ピロン|爆発音」に対応
・タイマー制御による割り込み処理「タイマxオン~モシ タイマx=<時間(1/100単位)>ナラバ<行番号>ニイケ」
ペリフェラル入力の取得(ジョイパッド、もしくはキーボード)「キイ<1|2>」

メモリの関係上、入力可能なステップ数は少ないにもかかわらず、IF~THENの後にはGOTO文しか指定できない、マルチステートメント記述不可、配列変数が使用できない(仮に2プレイヤーでの対戦ゲームを実装する場合、同じプログラムを2重に書かなければならない)等の厳しい制約がある。限られたメモリでプログラミングするために、相応のテクニックが必要(後述)。
一方、ぴゅう太でのみ使用可能なユニークな機能として、1/100秒単位で計測可能なタイマー割り込みを最大7つまで使用できる機能があった。具体的には、自機と弾を異なる速度で制御しつつ、1秒ごとにタイマーをカウントダウンするといったような処理を簡単に記述することが出来た。

ぴゅう太の計算能力

ぴゅう太で使用可能な数値はMSXと同様16ビットであるが、MSXが-32768~32767までの範囲を表現できたのに対し、ぴゅう太では「-32768~32767」と「0~65535」との2種類の解釈が可能であった。この矛盾した解釈による弊害として、マイナスの値の掛け算の結果が正常に取得できないという「仕様」が存在した(一見バグっぽいが、理由も含めてマニュアルに表記されていたため、仕様と解釈するのが妥当であろう)。
CPUのTMS9995には乗除算命令もあり、加算しか無かった当時の主な8ビットCPUよりは優れていると思われる。実装次第ではワイヤーフレーム程度の3D表現ならば可能であったのではないかと推測される。

VRAM上に描かれたグラフィックパターンを識別する方法

現代のゲームにおいては、地形コリジョン(当たり判定)を処理するために、表示とは別に専用のデータを持つことが一般的である。しかしメモリが貴重だった時代においては、VRAMに描画されたグラフィックを直接読み込んで判定するというテクニックは一般的であった。
ぴゅう太に付属されていたマニュアルには、VRAMを直接読み込む方法は解説されていなかったが、後にユーザーによって発見された。私自身も、当時のマイコンBASICマガジンの余白に掲載されていた投稿「画面を読み取る方法を発見した」を見て、独学でやっとその方法を発見した。
この機能が使えるのと使えないのとでは、ゲームデザインに大きな違いが生じる。床や壁を判定できるというだけでも、作れるゲームの選択肢は大幅に広がる。
方法自体はさほど難しくなく、<変数名>=セル(<セル番号>)を実行する事により、セルのビットマップパターンを変数に代入することが出来るため、IF(モシ)文による比較が可能となる。

当時はこの変数に何が代入されるのか分からなかったのだが、どうやらセルの上位2ライン(上部の16ドット分)のビットパターンが代入されるようである。よって、正しく判定させるためにはグラフィックモードでのデザインを工夫する必要がある。例えば、パックマンのようなドットイートタイプのゲームを作る場合、セルの中央にエサのドットパターンを描くようなデザインでは、空白パターンとの区別がつかない。

ぴゅう太のプログラミング容量

BASICで入力可能な容量は、本体付属のマニュアルには「最大100ステップ前後」と記述されていた。これはプログラムの書式により異なり、ワーストケースでは80行程度で上限に達することもあった。
プログラム容量がオーバーした場合、画面上にたった一言「ハ゜ンク」と表示され、それまで入力していたプログラムが化けてしまう。
(私の経験では、英字だった変数などがカタカナに化けてしまった。その後リカバリ出来るかどうかは不明)
限りあるプログラム容量を有効活用するテクニックとして、「よく使うリテラルを変数として定義しておき、可能な限り変数を参照する」というものがある。
具体的には、
 A=0
 モシ B=0 ナラバ 10ニイケ
と書くところを、代わりに
 S0=0
 A=S0
 モシ B=S0 ナラバ 10ニイケ
というように記述するというものである。S0の出現頻度が多いほど、効果は高くなると思われる。
手元に実機がないので確認はしていないのだが、当時メーカーから発売されていたBASICのプログラムでこのテクニックが使用されていることから、メモリ節約の効果があると推測される。モトローラ68系や日立SH系のアセンブラでプログラムを書いたことがある人ならば何となく予想できると思うが、16ビットのリテラルを直接表記するよりも、変数を8ビットのインデックスで指定したほうがメモリ消費が少なくて済むとか、おそらくそういうアーキテクチャだったのだろうと推測する。

以上をふまえた上で、ぴゅう太のプログラミングを楽しんでいただきたい。

 

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(画像は昔描いた、ぴゅう太の擬人化キャラ)

【イベント】ALL ABOUT マイコンBASICマガジンⅡ #AABM2

マイコンBASICマガジン(ベーマガ)は、電波新聞社から1982年から2003年まで発行されていた、ホビープログラマ向けの月刊誌である。
私が初めてパソコンを買ったのは1982年の12月。「ぴゅう太」という、いかにも玩具のような機種名で、実際玩具メーカーが発売していた。家庭用のTVに繋げて使用する、半ばゲーム機を兼ねたパソコン。当時電機メーカー各社からはモニタ込みで数十万円もするような高価なパソコンも発売されていたが、母子家庭の我が家には手が届く代物ではなかった。

当時はインターネットなどというものは一般人には全く無縁のものであり、それ以前にパソコンを持っている人が学校全体でも数人程度というレベル。
なおかつ、当時の一般的なパソコンはユーザーフレンドリーという概念からはほど遠く、パソコンで何かをしたければ自分でプログラムを書くことが事実上必須であった。まず電源を入れると内蔵のBASICが起動し、「OK」もしくは「READY」と表示され、カーソルが点滅する。「ご主人様。ご命令をどうぞ」といった感じで命令を待っている状態であり、これからパソコンが何をすべきか、ユーザー自身がパソコンに分かる言葉で命令する必要があった。

ネットが当たり前の今の時代しか知らない人にとっては、パソコンがネットワークに繋がっていなかった時代の不便さを想像するのは難しいのではなかろうか。ソフトや画像をダウンロードすることも出来ない、他人と繋がれないから何の情報も得られない。分からないことがあっても、周りに使っている人もいないので質問すら出来ない。当時まだ実用に耐えなかったパソコンに未来と可能性を感じ、安くはない投資をして買ったにもかかわらず、ほんの少し触っただけで使いこなせず部屋の片隅で埃をかぶっていた…というケースも少なくなかった。

そんな時代において、当時中学生だった私にとって「ベーマガ」は貴重な情報源であり、まさにバイブルと呼ぶべき存在であった。私も含む当時の多くの子供たちが興味を持っていたであろうゲームプログラムに特化しており、掲載されているプログラムも短めであったため、子供でも頑張れば入力し実行することが出来た。ゲームソフトを買うお金がなかった少年たちにとっては、ゲームを遊びたいがために雑誌のプログラムを入力し、結果プログラミングの学習にもつながっていた。当時のベーマガで学んだ読者が、現代においてもIT業界で活躍しているというケースも少なくはないだろう。かくいう私自身も、およそ四半世紀以上に渡り、某ゲーム会社でプログラマーとして働くことが出来ている。

前置きが長くなってしまったが、当時のパソコン少年たちにとってのバイブルであったベーマガに深く関わっていた人たちが登壇するイベントが、1/14によみうりホールで開催された。詳しいレポートは他の誰かが書いてくれるだろうと期待し、個人的に印象深かったことだけを記す。

ベーマガ誌上では、編集部員をモチーフにしたと思われるキャラクターが毎回登場していた。彼らが実在するかどうか自体今まで謎だったのだけれど、今回初めて当の本人達を確認できたのが感慨深かった。
特に紅一点である「つぐ美さん」の存在は、多くの読者にとって気になるところであっただろう。彼女は「ぴゅう太」や「シンクレアZX81」等といった、比較的マイナーな機種の担当だったという説明があり、壇上のスクリーンに当時の紙面が映し出された。
そこに映されたぴゅう太の投稿作品が、なんと私が初めてベーマガに投稿したプログラムであった。

 

私の手元には掲載誌は残っていないので、フォロワーさんのツイートを引用。
多分誰も気にしていないと思うけれど、スクリーン上には私の本名がばっちり映っていた(笑)。

自分が作ったゲームが雑誌に掲載され、なおかつ原稿料(源泉10%引いて9000円)がもらえるというのは、子供だった自分にとってはこの上ない喜びであった。
当時、雑誌が発売されるよりも少し前に、ベーマガ編集部から女性から掲載を知らせる電話があった。あの電話の主はもしかしたらつぐ美さんだったのかなぁ…?と今までずっと疑問に思っていたのだけれど、30年以上経った今になって、やっぱりあの人はつぐ美さんだったんだ!と確信することが出来た。それが分かっただけでも、今回のベーマガイベントに参加した価値は十分あったと思える。
当時の電話では「ぴゅう太の投稿が減ってきているので、また何か作ったら投稿して欲しい」というような趣旨の話をされたのを覚えている。当時の私の力ではなかなか及ばず、結局それは叶わなかったのだけれど。
翌年は友人から借りたMSXでゲームを作って投稿し、それも掲載されたのだけれど、その時は事前の連絡はなかったので驚いた。機種が違うと担当者も違うので対応が違ったのだろう。

私が「ぴゅう太」を買った中学生当時、付属のマニュアルを独学で勉強して、約一月である程度のプログラムが組めるようになったのだけれど、作ったゲームを実際に投稿することは難しかった。具体的には、作ったプログラムの保存が出来ない。当時のパソコンではセーブデータをカセットテープに保存するのが一般的だったのだが、元々ラジカセというものは音楽を保存するためのものでパソコン用ではないという事もあり、当時家にあったラジカセでは何度試しても正常にデータを保存することが出来なかった。メーカー推奨のデータレコーダは約1万円もしたので、なかなか買えなかった。やっとデータレコーダを買い、初めて制作物の保存や投稿が出来るようになった。ちなみに、ぴゅう太はデータのセーブ・ロードが非常に遅く、10数キロバイトのデータのセーブに12分もかかるのが辛かった。

ぴゅう太は当時としては特殊なパソコンで、まずグラフィックエディタで絵を作成し、その後プログラムを入力することによりゲームが完成する。なので当時のベーマガぴゅう太の投稿では、紙面にはプログラムと一緒にセルやスプライトグラフィックパターンも同時に掲載されていた。このユニークなアーキテクチャは、その後の自分のプログラミングにも大きな影響を与えていると思う。次にMSX2を購入した時も、まずグラフィックエディタを自作するから始めた。そのためかどうかは分からないが、今でもゲーム開発に限らずインハウスツールの作成も割と好きだし得意な分野の一つである。
また、今の会社に就職して初めての仕事は、ポリゴン描画機能を持たないゲーム機のカートリッジにDSPチップを搭載し、ポリゴン描画エンジンを実装してアーケードのレースゲームを移植するというものであったが、これもぴゅう太のグラフィックエディタでセルを直接編集していた経験が活きていた…のかも知れない。

以上、まとまりのない文章になってしまったが、かつてベーマガに育ててもらった感謝の気持ちとして記しておきたい。

けものフレンズを殺したのは誰か

薄々予想はしていたので大きな驚きは無いが、いざ確定してしまうと残念としか言いようがない。

裏でどのようなやり取りがあったのか、当事者以外は知りようがないし、もちろん私も知らない。
なのでこれから書く文章は、ただの一個人が(ウイスキーを飲みながら)書きなぐっただけの憶測であり、信憑性は全くのゼロである、とあらかじめ明記しておく。

一部の動画制作(12.1話とか?)について、「事前の情報共有をしない作品利用があった」と制作委員会側から指摘があったという話があるが、もし仮にそれが事実であったとしても、「既にやってしまった事に関してはごめんなさい。以降は気をつけます」で済む話ではなかろうか。
既に起きてしまったことに対して謝罪を一切受け入れず、大ヒットの功労者である監督を降板させるという「金のガチョウを殺す」判断はビジネスとして考えてもデメリットしかなく、誰も得しないはずである。出資者の収益を最大化することが目的である製作委員会において、そのような愚かな判断は普通ありえない。個人的にはここに大きな違和感があった。

一般論として、アニメビジネスにおける製作委員会方式というのは、クリエイターを定額(低額)で働かせ、そこで発生した利益や権利は全て出資者が総取りするというビジネスモデルである。コンテンツがどんなにヒットしたとしても、クリエイターがそれに応じた権利や収入を得ることはない(脚本や楽曲制作など一部の例外を除く)。あくまでクリエイターは出資者に使役される立場でしかない。

しかしもし仮に、クリエイター(もしくはクリエイターが所属する組織)が自分の価値を声高に主張し、今後制作したものに関しては収益に応じたロイヤリティーをよこせ、と言い出したらどうなるだろう?一度前例を認めてしまえば、けものフレンズに限らず他のコンテンツでも同様の主張をするクリエイターが出てくる可能性は十分にあり、長期的には製作委員会という搾取型ビジネスモデルが崩壊する危険性すらある。出資者としては、たとえ一時的に損をしてでも切り捨てざるを得ないのではないかと勘ぐってしまう。

けものフレンズのイベントに参加したことがある人は分かると思うが、たつき監督のファン人気は異常といえるほど高い。過去にも様々な人気アニメはあったけれど、監督個人がここまで大きく支持されるアニメはかなり珍しいのではなかろうか。出資者から見れば、本来奴隷であるはずのクリエイターが目立ちすぎるのはビジネスとして決して好ましい状況ではなかったと想像することも出来る。

ちなみに、一般的なアニメではオープニングの始めのほうに「企画」という名義でクレジットされている人たちがいる。基本的には彼らが書類にハンコを押す立場であり、ビジネス的に最も偉い人である。けものフレンズを殺した張本人もこのうちの誰かである可能性は高い…が、外部からは誰なのか判断のしようがないし、勘ぐるだけ無駄だろうとは思う。ひとつの大きなコンテンツが死んだという事実は、もはや覆ることはないのだろうから。

以下余談。
アニメに限らず色々なコンテンツにおいて、その売上を気にする人たちが一定数いる。理由はいくつかあって、単に数字が気になるというのもあるだろうし、自分が好きなものが世の中でも広く受け入れられているのが実感できるのがうれしい、というのもあるかもしれない。

もしくは、自分が好きなコンテンツが売れることによって、制作に関わったクリエイターさん達に還元されて欲しい、平たく言えば「いいものを作った人たちが報われて欲しい」と考える人もいるだろう。私もこの考えに近い。
しかし、私自身もコンテンツ制作の片隅で生活している人間として実感があるのだけれど、コンテンツがどんなに売れたとしても製作者に直接還元されることは(自身で権利を持っている漫画家や小説家でもない限りは)あまり無いのではなかろうか。

まぁ私の場合は会社に所属するサラリーマンであるため、コンテンツの売上にかかわらず決まった給料がいただけるというメリットを享受しているので文句はないのだけれど、アニメ製作者はどうなんだろう?会社に所属しないフリーランスの立場でありながら、自分が作ったコンテンツの著作権も持てないとすれば、デメリットしかないように思えてしまうのは気のせいだろうか。最近一部で流行りの某バーチャルユーチューバーの言葉を借りると「世の中世知辛いのじゃ~!」という残念な気持ちになる。

 

 

ゲーム天国が楽しかったので、アーケードコントローラを買った

ゲーム天国は、1995年(アーケード)~1997年(セガサターン)でリリースされたシューティングゲームである。
当時リアルタイムで感じた個人的な感想としては、アーケード版は序盤から敵が硬すぎて正直あまり爽快感がないなぁという印象があったのだけれど、セガサターンに移植された時点でいい感じにバランスが調整されたという印象があった。個人的には、セガサターンの時代に最も多くゲームソフトを購入していたのだけれど、そんな時代においてサターン版ゲーム天国は個人的ゲームランキング2位という位置だった。

(参考)個人的セガサターンゲームソフトベスト5
1.アイドル雀士スーチーパイ2
2.ゲーム天国
3.メタルファイターMIKU
4.メタルブラック
5.魔法騎士レイアース
※自分自身が関わったタイトルは除く

上記の通り、ジャレコのゲームがワンツーフィニッシュであった。今改めて考えると他にも名作は多数あったけれど、当時の私自身の感性とたまたまマッチしていたのは上記だったんじゃないかなぁと思う。

そんなゲーム天国が今年リニューアルされると聞き、個人的にとても大きな期待を寄せていた。サターンの時もVHSビデオ付きの限定版を購入したが、今回も限定版を注文。

 

 待ちわびた挙句届いた製品版は…まぁいくつかの不満はないこともないのだけれど、総合的にはとても楽しませてもらっている。かつてシューティングゲームが好きだった頃を思い出し、シューティング熱が再び蘇ったという感がある。

セガサターン版当時とは微妙にゲームバランスが違う気がするのは、移植度の違いなのか、それとも私自信の感覚の違いなのか、今更検証するのは野暮というものであろう。時が流れれば、人は変化するものなのだから…。

そんな思惑はさておき、結果として現代に蘇ったゲーム天国をとても楽しんでいるし、たとえ3面から急激に敵が固くなって爽快感が大幅に下るとしても、自分の努力で攻略したいという気持ちがあった。その気持ちは日々強くなり、結果今まであえて手を付けなかったアイテムを購入しようという決意に繋がった。

シューティングゲームを快適にプレイするためには、アーケードタイプのジョイスティックが必須であると思う。
私が今まで使っていたのは、ホリのファイティングスティックMINIであった。 

【PS4対応】ファイティングスティックmini for PS4 PS3 PC

【PS4対応】ファイティングスティックmini for PS4 PS3 PC

 

 これを選択した理由は単純明快で、「コンパクトで場所を取らない」の1点に尽きる。
PS4のジョイスティックはいくつか発売されているが、いずれも巨大すぎて場所を取りそうなものばかりである。値段も高額で、その分品質も良いのだろうけれど、物理的に限られた空間に住んでいるという制約がある以上、あまり大きなデバイスは購入したくないという心理は大きい。これは価格以前の問題である。

ファイティングスティックMINIもそれなりに使いやすいのだけれど、ゲーム天国のプレイにおいて限界を感じてしまい、更に上を目指すためにはより高性能のコントローラが必要なのでは…?という考えに至り、不本意ではあるけれどコントローラというにはあまりに巨大過ぎる(ように感じる)リアルアーケードプロ(以降RAPと呼称)の購入を決意した。 

 体積も価格も約3倍のジョイスティック。
これを使うことにより、自分のゲームプレイがどのように変化(改善)するのか。ワクワクしながらアキバのヨドバシから大きな荷物を抱えて帰宅したのだけれど…。

結論から言うと、ゲーム天国のスコアにはほぼ変化はなかった。
当たり前の話ではあるけれど、3面以降の敵の硬さや敵弾の多さ・コリジョンの大きさはコントローラを変えただけでは何も変わらず、死ぬ時は死ぬ。
確かに大きさがある分、安定性はすごく高い。まるでコタツの上にジョイスティックが生えているかのような安定感で、私自身が操作している限りでは位置がずれたりすることは皆無。
以前使っていたファイティングスティックMINIでは、時々操作中に本体ごとずれてしまう事もあったので、確かに値段に応じた品質はあるのだと思う。
そしてもう一点、RAPではボタンのストロークが短いため、押した時の感覚やレスポンスはおそらく良いのだと思う。対戦格闘ゲームでは特に効果が大きいのではないかと予想する。しかしながら私自身は対戦格闘ゲームが昔から苦手で、シューティングゲームでは自動連射で押しっぱなしというケースが多いので、ボタンに関しては残念ながらあまり恩恵が受けられなかった。

結局のところ、RAPの性能は非常に高いと感じつつも、それ以前に使用していたファイティングスティックMINIもそれなりに高性能であったということが分かってしまい、その結果あまりスコアに差が出なかったというのが結論であった。
RAP自体は値段相応の性能で非常に使いやすく、買ったこと自体は後悔していないけれど、もし今後アーケードスティックの購入を検討するのであれば、それぞれの特徴をあらかじめ考えた上で決めるべきだと思う。

RAPの良いところ
・レバー、ボタン共に最高品質で、文句のつけようがない
・荒いプレイでもブレない、高い安定性
RAPの悪いところ
・値段が高い
・大きくて場所を取る 

 ファイティングスティックMINIのいいところ
・コンパクトで場所を取らない
・価格が安い割に高性能
ファイティングスティックMINIの悪いところ
・小さいゆえに、荒いプレイだと時々位置がブレることもある
・スライドパッドがないので、アーケードアーカイブスだとオプション画面に入れない
(本体付属のコントローラに切り替える必要があるが、頻度は必ずしも多くない)

ちなみにどちらもWindowsPCでも使用できるスグレモノ。
かつてシューティングは斜陽のゲームジャンルであったけれど、昨今ではPS4レトロゲーム復刻だけではなく、Steamでも多数の選択肢があるので、ゲームが好きなら一家に一台アーケードスティックを常備しても損はないのではなかろうか。

 

【PS4対応】ファイティングスティックmini for PS4 PS3 PC

【PS4対応】ファイティングスティックmini for PS4 PS3 PC

 

 

ガラケーを使うのは恥なのか

私の母親は昔からずっとガラケーを使い続けていた。
もし仮に母がスマホに買い替えたら、家族でLINEが出来たりして便利かもなぁ…と思いつつも、今更スマホを使いこなすことが出来るとは到底思えなかったので、こちらからは特にスマホを勧めようとも思っていなかったのだけれど。

しかしそんな母が、突然スマホに買い替えたという報告を受けて非常に驚いた。
具体的な経緯を聞くと、自分は今までガラケーを使っていたのだけれど、電車に乗っていると周りの人間は皆スマホを使っているのを見て、自分だけがガラケーを使っているのが恥ずかしいと感じるようになり、隠れてガラケーを使うようになり、結果スマホに乗り換えたくなったらしい。
そして案の定、スマホに乗り換えたはいいものの使いこなせなくて色々なトラブルに遭遇し、そのおかげで拗ねてしまったので助けてくれ…という、母と同居している妹からのSOSラインで初めて経緯を知ったという有様。

…もうね、バカかと、アホかと。

ツッコミどころが多すぎて何から言及したらいいのか悩むところだが、まずは70過ぎた母親が「ガラケーを使うのが恥ずかしい」という感情が芽生えたこと自体が完全に想定外だった。
母はずっと田舎暮らしで、それまでは何の疑問もなくガラケーを使っていたのだけれど、諸般の事情で今年から上京して妹と同居することになり、そこで初めて都会の人たちの暮らしぶりを目の当たりにしたからという事らしい。

確かに昨今ガラケーを使う人は減っているかも知れないけれど、今でもガラケーを使い続けている人はある程度いるので、本来であれば恥じる必要などないはずである。しかし例えば電車内では通話が禁じられているので、必然的にスマホをいじっている人を見かける比率が多くなり、そのため誰もがスマホを使っていると勘違いしてしまったのではないかと想像する。

まぁ百歩譲って、そこまでの考えに至るのは理解できなくもない。
しかしだからといって、いきなりスマホに乗り換えて使いこなせると思ってしまう、その根拠のない自信はどこから出てきたのだろう。そもそも今まで使ってきたガラケーだって、私がわざわざ入力方法をレクチャーしてやっと使えるようになったのに!

…というか、スマホに乗り換えたいなら事前に一言相談して欲しかった。私が以前使っていたiPhone6が余っているので、それにMVNOのSIMを刺してガラケーと2台持ちするのがベストだったはず。スマホが使いこなせないからと言って、今更ガラケーに戻したいとか言われても遅いよ!

百歩譲ってiPhoneを使うならまだしも、機械に疎い人がいきなりAndroidを使い始めるとか、無謀にも程がある。
※今の御時世、iPhoneAndroidは大きな違いはないよというツッコミが入る前に言及しておくと、初心者であればあるほど、ほんの小さな段差でも躓きがちである。普段からスマホを使いこなしている人にはそれが分からんのですよ。

そんなインシデントがあり、母と同居している妹もほとほと疲れ果てたというエマージェンシーを受けて、仕方なくヘルプすべく母の元に出向いた。
まずは文字が小さくて見えないというので、設定で文字を最大に設定した。これでまずは表示に関しては解決。
後は文字入力が出来るようになれば万事解決。もし仮にフリック入力が難しくても、別の方法もあるのでそっちで慣れれば…と思っていたのだけれど、いざ試してみると実質的には困難であることが初めて分かった。

フリック入力とは別にトグル入力というものがあり、これを使えば従来のガラケーに近い操作で入力ではないか?と期待していたのだけれど、いざ使ってみたらこれが本当に使いづらい。スマホを使い慣れている私ですら厳しい。
具体的に何が無理かというと、ガラケー同様キーを連打すれば文字が切り替わっていくのだけれど、ある程度速い速度で連打する必要がある。少しでも遅れてしまうと、次の文字にフォーカスが移ってしまう。ゆっくりボタンを打つ老人には無理。連打の速度を変更する設定も見つからない。
また、タッチパネルの入力が無理なら、最悪マイクを使った音声入力もあるではないか…と思ったのだけれど、これも認識があまり良くなく、とても使い勝手が悪い。
結局、無理してでもフリック入力に慣れてもらうしか無いという結論に達した。

そして更に、LINEを使おうとして様々なトラブル発生。まずLINEをインストールした時点で、電話帳に登録されていた人全員に通知が行ってしまい、交流したくない人にまでLINEを使っていることが知られてしまったとの事で、非常に怒っていたのだけれど…。これに関してはその時私はその場にいなかったし、後の祭りとしか言いようがない。LINEを立ち上げる前に、そのような惨劇を防ぐような設定は出来なかったのか?とか今更言われても、知らんがなとしか言いようがない。そもそもLINEにそんな親切な設定があるとも思えないし。

まぁ過ぎたことは仕方ないとして、次にハマったのが「メッセージを送信するのに、どこを操作したら良いのか分からない」という壁があった。普段使い慣れている人から見れば、メッセージを入力するための枠があるのでそこをタップすればいいと理解しているが、年を取って目が悪い人にとっては、この枠を認識すること自体が困難であることに今回初めて気がついた。今時流行り?のフラットデザイン()とやらの影響か、メッセージボックスの境界線が非常に薄い。このデザインを作った人は普段からスマホを使い慣れていて、そんな疑問など頭の片隅にすら浮かばなかったのであろう。

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トグル入力にしろLINEの実装にしろ、今回の経験で自分が使い慣れているものでも、人によっては必ずしもそうではないことを知ることが出来て、そういう意味では勉強にはなった。たまにはこういう視点を持つのも大事…かも。

※12/23 追記

母親、結局スマホの使用を諦めてガラケーに戻った。

 

【本】キラキラで豪華なイラストを描きたい

ここ最近仕事もプライベートも忙しくて、なかなか絵を描く余裕もなかったのだけれど、教本やポーズブックなどは時々買っている。

キラキラで豪華なイラストを描きたい

キラキラで豪華なイラストを描きたい

 

 今回買ったこの本は、なかなか面白かった。
まず前提として、この本は完全な初心者向けではない。絵を完成させるまでの工程は一応一通り解説されているけれど、細かい説明は省かれている。ある程度絵を描いたことがある人が、主にエフェクトを書き足すことによってワンステップ見栄えを良くしたいという人向けだと思った。初心者レベルをうろうろしている私にはありがたい。

この本がユニークなのは、絵を描くための技術を説明するだけではなく、仕事として絵を発注された時のクライアントとのやり取りが書かれている。
私自身は仕事として絵を発注するほどの技術は持ち合わせていないが。逆に自分が自主制作でゲームを作る機会があれば絵を発注したいなぁ…と漠然と思っていたので、そういう意味では興味深く、参考になった。

もし仮に私がプロにイラストを発注したとして、相場はどのぐらいになるのか気になる。普通に考えると作家のネームバリューや作業時間に比例するのだろうけど。

この本での作例はソシャゲの最高ランクのクオリティという想定なので、やはり単価も高くなるのであろう。ちなみに私も昔仕事でカードゲームの開発に関わったことがあり、当時はまだ今のようなソシャゲが存在しない時代だったのだけれど、その時の単価はこの本に書かれている値段よりももっと高かったと記憶している。まぁ、カードゲームにおいて絵のクオリティはそのまま製品価値に直結するので、単価が高くなるのは必然であろう。今時高収益をあげているソシャゲのイラストの単価はさぞかし高いのだろうなぁ…?