けものフレンズを殺したのは誰か

薄々予想はしていたので大きな驚きは無いが、いざ確定してしまうと残念としか言いようがない。

裏でどのようなやり取りがあったのか、当事者以外は知りようがないし、もちろん私も知らない。
なのでこれから書く文章は、ただの一個人が(ウイスキーを飲みながら)書きなぐっただけの憶測であり、信憑性は全くのゼロである、とあらかじめ明記しておく。

一部の動画制作(12.1話とか?)について、「事前の情報共有をしない作品利用があった」と制作委員会側から指摘があったという話があるが、もし仮にそれが事実であったとしても、「既にやってしまった事に関してはごめんなさい。以降は気をつけます」で済む話ではなかろうか。
既に起きてしまったことに対して謝罪を一切受け入れず、大ヒットの功労者である監督を降板させるという「金のガチョウを殺す」判断はビジネスとして考えてもデメリットしかなく、誰も得しないはずである。出資者の収益を最大化することが目的である製作委員会において、そのような愚かな判断は普通ありえない。個人的にはここに大きな違和感があった。

一般論として、アニメビジネスにおける製作委員会方式というのは、クリエイターを定額(低額)で働かせ、そこで発生した利益や権利は全て出資者が総取りするというビジネスモデルである。コンテンツがどんなにヒットしたとしても、クリエイターがそれに応じた権利や収入を得ることはない(脚本や楽曲制作など一部の例外を除く)。あくまでクリエイターは出資者に使役される立場でしかない。

しかしもし仮に、クリエイター(もしくはクリエイターが所属する組織)が自分の価値を声高に主張し、今後制作したものに関しては収益に応じたロイヤリティーをよこせ、と言い出したらどうなるだろう?一度前例を認めてしまえば、けものフレンズに限らず他のコンテンツでも同様の主張をするクリエイターが出てくる可能性は十分にあり、長期的には製作委員会という搾取型ビジネスモデルが崩壊する危険性すらある。出資者としては、たとえ一時的に損をしてでも切り捨てざるを得ないのではないかと勘ぐってしまう。

けものフレンズのイベントに参加したことがある人は分かると思うが、たつき監督のファン人気は異常といえるほど高い。過去にも様々な人気アニメはあったけれど、監督個人がここまで大きく支持されるアニメはかなり珍しいのではなかろうか。出資者から見れば、本来奴隷であるはずのクリエイターが目立ちすぎるのはビジネスとして決して好ましい状況ではなかったと想像することも出来る。

ちなみに、一般的なアニメではオープニングの始めのほうに「企画」という名義でクレジットされている人たちがいる。基本的には彼らが書類にハンコを押す立場であり、ビジネス的に最も偉い人である。けものフレンズを殺した張本人もこのうちの誰かである可能性は高い…が、外部からは誰なのか判断のしようがないし、勘ぐるだけ無駄だろうとは思う。ひとつの大きなコンテンツが死んだという事実は、もはや覆ることはないのだろうから。

以下余談。
アニメに限らず色々なコンテンツにおいて、その売上を気にする人たちが一定数いる。理由はいくつかあって、単に数字が気になるというのもあるだろうし、自分が好きなものが世の中でも広く受け入れられているのが実感できるのがうれしい、というのもあるかもしれない。

もしくは、自分が好きなコンテンツが売れることによって、制作に関わったクリエイターさん達に還元されて欲しい、平たく言えば「いいものを作った人たちが報われて欲しい」と考える人もいるだろう。私もこの考えに近い。
しかし、私自身もコンテンツ制作の片隅で生活している人間として実感があるのだけれど、コンテンツがどんなに売れたとしても製作者に直接還元されることは(自身で権利を持っている漫画家や小説家でもない限りは)あまり無いのではなかろうか。

まぁ私の場合は会社に所属するサラリーマンであるため、コンテンツの売上にかかわらず決まった給料がいただけるというメリットを享受しているので文句はないのだけれど、アニメ製作者はどうなんだろう?会社に所属しないフリーランスの立場でありながら、自分が作ったコンテンツの著作権も持てないとすれば、デメリットしかないように思えてしまうのは気のせいだろうか。最近一部で流行りの某バーチャルユーチューバーの言葉を借りると「世の中世知辛いのじゃ~!」という残念な気持ちになる。